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2013年09月 アーカイブ

2013年09月02日

傳左衛門日記 8月31日

公文協西コース巡業初日、板橋。
巡業に出るのはまこと久しぶり、勘三郎さんの襲名以来である。
朝から余りの暑さ、久しぶりに山手線に乗る。嘗て通い慣れた目白を過ぎ、池袋着。東武線は多分初めて、侘びた景色を眺めつつ大山なる処に着き、ホールへ。
初日の挨拶を交わすうち、松竹のプロデューサーが一枚の写真、写っているのは祖父の傳左衛門。昭和57年10月、このホールの開場の一番太鼓を打ち、先代山崎屋さんの翁三番叟、音羽屋さんの道成寺など、正式なこけら落としをしたようである。当時我は初等科一年、その前月に長唄の初舞台をしたばかり、当然知る由も無い。
急に身が引き締まった。

2013年09月10日

傳左衛門日記 9月4日

公文協西コース巡業、大津。
朝名古屋を出、京都に途中下車、いつも鼓を拝見に伺う某古美術の御主人方に顔を出し、依頼している鼓胴蒔絵修繕の進捗を伺う。夜ご飯お誘い頂き了承、大津へ。
幼少の頃祖母や母と行った園城寺や、何処か美術館で大津絵など観よう、などという呑気な目論見を押し流す大雨、至急琵琶湖ホールに入る。
やがて新幹線停止の報せ、今日は終演後神戸泊の行程、さて如何するか。
京都迄タクシーにて移動、存外に近い。約束通り道具屋御主人と会食後、動き出した新幹線に乗る。
乗った途端、徐行と停車を繰り返し、新神戸まで一時間以上。散々。

2013年09月11日

傳左衛門日記 9月5日

巡業、神戸。
旅の楽しみは食事と思うが、同時に不安でもある。
生来父親譲りの腹の弱さ、芸を譲ってくれれば良いものを。どうしても無難なもの、或いは一度訪れて外さなかった処のみとなる。
昼夜公演の合間、南京街、以前三響會のツアーで猿之助丈にお連れ頂いた中華料理に向かう。店内には最早遠い昔のような「市川亀治郎」のサイン。
安心して腹拵えをする。

2013年09月12日

傳左衛門日記 9月7日

昨夕、岡山からよく揺れる特急で三時間、玉三郎丈の「日本振袖始」は幾度も演奏させて頂いているが、実際に出雲を訪うは初めて。
翌朝出雲大社参詣。
この辺りは「弁当忘れても傘を忘るな」という程に天気が変わりやすいとのことだが、出雲は自然災害が余り無いとのこと。
まこと神域である。
縁結びを願う若い女性の参拝者が多い。
縁結びといっても、何も男女の恋仲のみならず。我も仕事等様々な方々との良縁を祈願し、また感謝する。
米も蕎麦も美味しく、人も素晴らしく、幾度も再訪すべき、素晴らしい神域である。
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2013年09月18日

傳左衛門日記 9月14日

巡業、松山。
昨日は岡山から赤穂に移動、公演し、終演後再び岡山で乗り換え、暗闇の瀬戸内海を渡り三時間、松山に移動。
列車内でロンドンでのレ・ミゼラブル25周年コンサートの映像を観る。
近頃国内外問わず、質の高い舞台を観に行く時間が無い。ジェニー・ギャロウェイやレア・サロンガ、アンコールに出たマイケル・ボール等の名優、何より作品の力で時間を忘れる。
だが移動疲れは正直、今朝から咳止まらず。ホテル近くの薬局に行こうと隣の三越を通り抜けんとすると、江戸文字の看板、平成中村座でお馴染み橘右之吉さんが実演中。誠にご縁。
昼夜公演の合間に、当地の名店「きよみず」に注文の弁当を取りに伺う。
父の行き付け、予て名は耳にし、実家の正月のおせちで眼も舌も知っているが、訪うは初。今宵遇う人皆美しき、とは云わぬが浮き足立つ。
楽屋弁当では有り得ぬ素晴らしさ、次回は必ず店で落ち着きたい。

2013年09月25日

傳左衛門日記 9月22日

巡業、八千代座。
朝大分を出発し、バスにて九州横断する事三時間余、一路山鹿を目指す。
空は蒼く、山の緑は美しく、棚田には黄金色の稲穂が輝く。
八千代座は久しぶり、玉三郎丈の舞踊公演で度々出演させて頂いた。
常は都会暮らし以外考えられないのだが、山鹿は別格。心の中では殆んど第三の故郷である。
八千代座着、久々に再会する街の方々も人情溢れる。直ぐに街歩き。常宿に行くも女将不在、取り敢えず日帰り入浴する。
新しい店も増え、街も多少活気を帯びてきている。
街道筋の喫茶店でルーシー・リーを素朴にしたような御飯茶碗を発見。日田公演の時は共杖共白髪、相撲中継に熱中する素朴な老夫婦の営む店で、素朴な小鹿田焼を購入した。
各地の寺社や民陶を見るのも、巡業の空き時間の楽しみである。
明日八千代座公演後、帰京。25日川口で千穐楽を迎える。
充実した巡業であった。



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