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傳左衛門日記 7月5日

演舞場「鏡獅子」終了後、ジャズピアニストの小曽根真氏にご招待いただき、東京フィルの定演を聴きにサントリーホールに向かう。
着物のまま行ったので、物珍しいのか判りやすいのか、色々な方々にジロジロ見られ、会釈され、声をおかけいただいた(が、人の顔と名前を一致させるのが生来大変に不得意である。もし非礼が有ったならこの場で詫びる)。
小曽根氏はモーツァルトのピアノコンチェルトを弾いた。氏のジャズピアニストとしての強い矜持が感じられる演奏だった。
ソロパートの時と、アンコールのジャズ曲の時の、オーケストラの皆さんの楽しそうな、嬉しそうな表情が実に印象的で、客席のクラシック愛好家も斜に構えず、舞台の上も下も純粋に「音楽」を楽しんでいた。
氏に左様伝えると「サントリーホールで東フィル相手に僕みたいなモーツァルト弾いたら、本来打ち首ものですよ(笑)」と常の屈託無い関西弁で笑った。

実は三響會で能の曲を演奏するとき、全く同じ心境である。毎度能の形式を尊重しつつも、歌舞伎囃子の矜持を強く持ち演奏している。歌舞伎囃子方である以上は、自ずと歌舞伎らしい明るさ、軽み、躍動感が滲み出てくる。
舞台上の能楽師も見所の愛好家も、今日のサントリーホールのように違いを楽しんで貰えれば幸いである。
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