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傳左衛門日記 10月30日

朝新幹線、新大阪に向かう。駅でばったり勘太郎丈に遇い、共に中村座へ。
来月の平成中村座は「法界坊」「夏祭」の二本立てである。
「夏祭」にはベルリン公演に引き続き、再び和太鼓の林英哲氏にお願いし、弟子の上田君をお預りさせていただいた。
今回は左程変更しないつもりだったが、今回は再びご当地の福島天満宮の地車講の方々がいらっしゃるので、彼らへのリスペクトもあり、なるべくだんじり囃子を避けるべく、繋ぎの音楽の編成を変え、上田君の和太鼓と門弟の傳十郎の笛だけとし、シンプルで小回りが利くようにした。
「夏祭」の音楽といえば派手なだんじり囃子、或いは江戸の祭り囃子、立ち回りの囃子に気をとられ勝ちであるが、中村屋型に限らず、江戸の型の「夏祭」の音楽で最も重要なのは、通称「泥場」と言われる舅義平次殺しの場面の、団七とのやり取りの静かな笛と大太鼓の"鎌倉"という囃子である。一見(一聴か)地味だが、遠景のような風情、凄惨な殺しの前の義平次と団七の心情を表現している。簡単に聞こえるが、俳優の心情、呼吸、台詞の音量、義太夫三味線、全てを理解出来ないと不可能である。
和太鼓と笛だけにした事により、音楽の流れがこの「泥場」に集中した。上田君と傳十郎はベルリン以来度々ジョイントライヴをやっている様で、呼吸もぴったりであった。
存外に稽古が早く終わり、最終の新幹線に間に合いそうだったので、博多に移動、泊。明日から熊本の八千代座で玉三郎丈の舞踊公演。
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