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傳左衛門日記 7月23日

今月は赤坂ACTシアターで「鷺娘」を演奏している。
言うまでも無く「鷺娘」は玉三郎丈の代表作である。初めて玉三郎丈の「鷺娘」の立鼓を演奏したのは17歳、高等科3年の頃。それまでロンドンや歌舞伎座の諸公演で数度並んでいたが、我々の世界は「立(たて)」とそれ以下は雲泥の差である。
幕が開いて最初に「控え」といって、一発だけチという高い音を出してからヨーと声を出す。丈の直しはそこから、高い、浅い、早い、遅い…さながら「芸阿呆」の世界、以来演奏する事数百回、徹底的に鍛え上げられた。
丈はもう踊る事は無いだろうと公表されたそうだ。だが、曲の解釈や演奏方法はしっかり伝授されたつもりである。
過日の「伝統芸能の今」の座談会で亀治郎丈も仰ったが、30代も半ばになったら、そろそろ先輩から受け継いだ教えを後輩に伝える事を考えなければならない。
両親、先代銕之丞、伊十郎の各師、歌舞伎の舞台に出るようになってから玉三郎丈はじめ抜擢して下さった全ての幹部俳優、皆必死に教えて下さり、自分も必死にぶつかった。後輩に必死に伝える為には泰然と胸を貸す事、白鵬が大鵬の記録に並んだとの報せを聞き、思いを強くする。
注:写真は「鷺娘」がある毎に使用している小鼓の革である。修繕を重ね、もはや限界に近いので、玉三郎丈の一世一代で退役させるつもりだった。が、今回も使用している。戦友とはなかなか別れられない。
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