あと一週間で千穐楽。早いものである。
初手裏手、三度目で馴染み。歌舞伎三作品目の今回で野田歌舞伎というものが確立されたと思う。野田歌舞伎の下座音楽で最も重要な事は作家の言葉を聞かせる事で、その為にテンポを出していく事であると思う。故に、今回の音楽の使い方は古典歌舞伎とは全く違う使い方である。
能も歌舞伎も、戯曲によっては台本が書かれた当時の上演時間は今より全然短く、スピーディーであったとの研究を聞き及んだ事がある。謡や台詞、演奏の運びが時代を経て延びてしまったそうだ。
なるほど合方を多用し、台詞を延ばしたり唄う事が歌舞伎でない。実に演劇的、下座音楽にしてみれば実験的で挑戦的でさえもある。野田さんと打合せすればするほど、大変良い勉強になった。「研辰の討たれ」「鼠小僧」、LONDONと今秋の世田谷パブリックでの「Diver」でも沢山の刺激を頂戴し、数多の恩人の一人となった。
愛陀姫はオペラ曲を沢山使用する指定で、それに基づいて創り始めたが、ラストシーンのアダージェットに出会う事で、ようやく歴代野田歌舞伎と同じ形式にする事が出来た。
制作側のご許可を頂戴出来れば、次回は是非是非生演奏でやりたいものである。音楽家の多くは三響會にも出演した事のある、大変に素晴らしい方々である。彼等とのライヴ演奏は、芝居に又一つ奥行きを与えてくれるだろう。
