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傳左衛門日記 9月26日

世田谷シアタートラムの野田秀樹氏の「The Diver」初日。LONDONでの公演は僕の作調による録音を使用したが、今回は生演奏である。
今回野田さんからは、僕の担当箇所は全て完全な古典で頼む、と注文を受けた。邦楽の世界は狭いようで広いが、俳優の演技や表情を見計らいながら、当意即妙に音を附けて総合芸術に仕立てる事が出来るのは、歌舞伎座の座付の音楽家だけと自負している。ことに題材は能「海士」と源氏物語。うってつけだ。
ウェストエンドを代表する名女優キャサリン・ハンターさんとの仕事は本当に刺激的である。キャサリンが稽古中に歌舞伎座九月興行の玉三郎さんの「日本振袖始」を観に来た時、玉三郎さんの踊りと僕の小鼓がリンクして、同じ気持ちや呼吸で共に演じているのがよく解ったと仰っていた。歌舞伎でもそんな俳優は何人もいないよと笑っていたが、キャサリンとの仕事は、玉三郎さんや勘三郎さんから十数年かかって盗んだ呼吸と同じような感覚を与えてくれる。
役者としての野田さんとの仕事も初めてである。出演されてる舞台も「オイル」だけしか観た事が無かった。今回の作業で何故野田秀樹が「野田秀樹」であるか、あり続けられるか、理解出来た気がする。国の東西もジャンルも関係ない。凄い人は凄い。

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