朝10:00より日本武道館にて法政大学の入学式で浅見真州氏の羽衣を打つ。10代の方々にいきなり羽衣のような本格的な能を見せるのはいささか抵抗もありますが、この中の何人かでも能に興味を抱いて欲しい!という思いが沸き起こりました。
家に戻って一時間半ばかり仮眠してから宝生能楽堂へ。能楽現在形の本番です。
本日のゲストのシテは宝生流の金井雄資氏。 安宅の延年の舞囃子と藤戸の能を舞って頂きました。延年と藤戸、気力を外に解放する曲と内面に込めて外側に露出させる曲。一見真逆のようでありながらこれらの技法は善悪のごとく繋がっているものなのです。
昨日の日記に書かせて頂きましたが、やはり宝生流の延年之舞という小書(特殊演出)は亀井家代々の重みとでも申しましょうか、なかなか一言では語れませんし、客観的にも見ることが出来ないものです。常に舞台はそうあって然るべきですが、この延年こそが正に「命懸け」で臨まないと成り立たない曲なのです。とにかく使う気力体力が尋常では無い。演劇には空気や肉体の“弛緩”というものが必ず出てきます。ところが延年では緩む所が全く無い。いきなりMAXで始まり、更に肉体精神の緊張を上げていく。その緊迫感の持続と高揚によって成立する小書なのでやはり開演前はnervousな状態でした。 結果はお客様によって印象は変わるでしょうが、位(ペースや格調)的には何とか無事に勤めおおせたといった感でしょうか!? 宝生の延年は教科書のような音源が残っていて、シテは近藤乾三先生、笛が藤田大五郎先生、小鼓が幸祥光先生、大鼓が私の祖父という、今で考えればレジェンド達による名演が残っております。奇しくも本日の金井・幸弘・成田・広忠というメンバーはこのレジェンド達の孫弟子に当たる訳です。感慨深さもあり、敗北感もあり、“これからは俺達が延年を受け継ぎ作っていく!”といった気負いもあり。 伝承とは常に比べられる残酷さに身を晒されながら続いていくものだと思います。批評というものは心無い意見ばかりが多いですが、やはり舞台に立っている役者同士が一番分かっているのではないでしょうかね!? 受け継ぐ重みと現在の自分というものは。
終わってから現在形メンバー及びプロデューサーの土屋恵一郎氏の4人で夜中の2:00過ぎまで反省会。久々にお互いに長く熱く本音の語らい。親友ではなく志を共有する盟友たち。ある意味では親友を超えた付き合いと言えるでしょう。幸ちゃんにたけちゃん(萬斎さん)、本当に有り難い、得難い二人です。
