久々に兄弟三人で演奏した。去年の三響會以来か。四月日生劇場、市川亀治郎さん主演の舞台「風林火山」の録音。我々は個性の違いを旨としている。別に”わざと”違えようというのではなく、各々の信じる道を只々淡々と歩んでいる。だが、一度演奏を始めると途端にバランスを保ち、重心を取りつつ一丸となって進む。今回も基本的な話し以外、押す所引く所、ガンガン攻める所守る所、瞬時に意思を疎通させる即興的な勢いを大事にした。指揮者不在の邦楽は文字通り"呼吸"の芸術である。ジャンルは違えど、同じ家に育ち同じ師に教わり、同じ"呼吸"をして来たんだと改めて思う。
来月「風林火山」をご覧になるなら、少し耳を傾けると、より様々な世界が広がるはずである。無論まずは二十七日の「獅子虎傳」をご覧いただき、我々の”呼吸”の秘密を探っていただきたい。
