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傳左衛門日記 11月1日・下関

今日は仕込のみで公演は無い。朝から電車を乗継ぎ、山口に向かう。東京生まれの身には一両の単線が新鮮である。
自体列車の旅は愉しい思い出に満ち溢れている。原点は幼稚園の年長の頃。父の会が福岡で催された時、一家で当時のブルートレインに乗った事である。三つのベッドの上段に父、もう片方の上段に母と弟、下段に兄と二人が枕を並べて寝た。考えられない。そんなに小さかったのか。あの時も下関に降り立ち電車を乗換えた。関門トンネルを通過したときはいたく感動したものだ。成長し、電車に乗ることが単なる"移動"になったとき"旅"の感動は止まった。
さて、山口へ行く唯一の目的は臨済宗の古刹・常栄寺を訪れる事である。祖父十一世傳左衛門は実に信心深く、様々な御寺の住職や老師と親交が有ったが、画聖雪舟作の庭園が名高い當山は特に懇意で小さいころ祖父宅に老師や雲水が泊まりに来ていた事を思い出す。私は別段面識もないので寺にも特に名乗らず、一人で雪舟の世界を堪能した。
下関に戻り、夜は私社中の皆と会食。河豚や関鰺等の海の幸に舌鼓を打つ。それにしても皆良く飲む。

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