2012年05月09日

傳左衛門日記 5月9日

平成中村座。
今日は昼の部のみ、終演後急ぎ国技館に行く。
久々の本場所観戦。
中入の休憩に、中等科時代の同級生で、現在NHKの相撲中継担当アナウンサーの太田氏が席まで顔出しに来てくれた。
過日個展を観に行った画家の東園氏、それを仕切る日本橋の老舗画商の三谷氏、今日の太田氏、皆学習院の同級生が、それぞれの世界で日本文化の一翼を担っている。
今場所の勘三郎丈の中村座の懸賞の如く、日本文化内の相互交流は必要なことであり、年寄りでは無いが、若くも無い我々の世代が、まさにそこに差し掛かっていると改めて感ずる。
中等科の頃、初めて歌舞伎に出勤する時、祖父は何事も先ず10年だよ、と言っていた。
同級生達は社会に出て10年を経、一服の茶を喫し、たまに芸術や伝統芸能に触れ、愛でる機会が増えれば、自ずから心が豊かになることを、心身で理解出来るようになっていることと思う。
相撲も些か空席が目立つし、美術や伝統芸能も、決して良いと言えない時もあるが、文化を絶やさぬよう、それぞれの立場で訴えかけたい。
劇場や国技館には、ネットでは体感出来ない素晴らしさがある。
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2012年05月08日

渋谷亀博

ゴールデンウィーク直前にオープンし、話題となっていました「渋谷ヒカリエ」。
三響會ブログをご覧になっている方ですと、
既にご存知、またはお出でになった方もいらっしゃるかと思いますが、
このヒカリエで四代目 市川猿之助襲名記念「二代目 市川亀治郎大博覧会」が明日9日まで開催されています。

本日は夕刻より「渋谷亀博」のスポンサーでもあるOldParrさんの貸し切りイベントが開催され、
亀治郎さんの亀治郎としての最後の(?)舞踊に、傳次郎も参加させて頂きました。

ご襲名に向けて毎日本当にお忙しい中、
ご一緒できたことに、傳次郎もとても喜んでおりました。

イベント終演後は明日閉幕の亀博のため、物販ブースで亀治郎グッズに
サインを書いて書いて書きまくって(!)おられました。
中には亀治郎さんのいたずら心満載のサインも!

明日の最終日は18時まで(ご入場は17時半まで)の開催となるようです。
ぜひお出ましくださいませ。


サインを書いて一息つかれた亀治郎さんと。
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傳次郎が頂いたサイン入りの写真集「亀治郎の肖像
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2012年05月07日

傳左衛門日記 5月3日

平成中村座舞台稽古。
終了後、世田谷のシアタートラムに行き、キャサリン・ハンターの独り芝居「Kafka's Monkey」を観る。
公演中なので内容は伏せるが、舞台上での憑依とも言えそうな集中力の高さ、真摯さ、勿論身体性の高さ。
一部のオペラやバレエのスターのような、観光ついでの来日では無い。その真剣さが素晴らしい。
キャサリンとは四年前に野田秀樹氏作・演出の「The Diver」で一緒に仕事をしたし、過日野田氏の「The Bee」英語版を観たが、洋の東西問わず、他に喩えようの無い名優である。
日本に居ながら、世界トップクラスの演劇を観ることが出来る、至高の時間であった。
終演後の乾杯では打って変わって、リラックスしたチャーミングな感じ。まこと愛すべき人である。
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2012年04月02日

傳左衛門日記 4月1日

新橋演舞場初日、「仮名手本忠臣蔵」の通し公演。
初日の挨拶廻り中、福助丈が「君らの世代になったね~」と仰った。
若輩乍、忠臣蔵は随分演奏させていただいている、が、通し公演といえば、遥か年上の大名優ばかりの一座である。
10代20代の頃の自分に大名優達が出囃子蔭囃子共、様々な大役を演奏させてくださったのも、同世代以下の俳優、演奏家、スタッフにその経験を伝えよ、との有難い思し召しによる。
今月は花形歌舞伎は、少しは同世代の俳優達に、培った経験を生かせる場となるかと思う。
大序の幕明きは以前(2008年10月頃の日記か)触れたが、歌舞伎の「翁」のようなものである。
幕明きの「天王立下り端」の太鼓も完全版は七・五・三に打つ。
完全版は長い上、幕引き、狂言作者等、スタッフさん各位も相応の知識が求められるが、自分の社中では、決して省略しない。他の御社中は真ん中を飛ばした省略形である。
今回の大序の俳優さんやスタッフさんは、普段省略形に耳慣れた方々なので如何かしようか逡巡したが、松緑丈に相談させていただき、今回の意義有る忠臣蔵通しの幕明きを完全版で演奏して貰っている。
幕が明き、低音、甲音を交互に七・五・三に、置鼓という小鼓を打つ。これは自分が一座しているときは必ず打つ。普段全くミスタッチをしない自信があるが、これは毎度、寧ろ回数を重ねる毎に緊張する。
蔭囃子ではあるが、着流しでは無く、正式に袴を履く。大昔、出打ちをした事もあり、その名残と学生時分に先輩達の雑談を聞いた。楽屋話の雑談は重要である。そういえば、戦争の話をする先輩達がすっかり居なくなった。
さて、三段目が終わり四段目、由良之助は染五郎丈である。
四段目の城明け渡しの本釣鐘は、大序の置鼓と並んで、全ての歌舞伎囃子の筆頭格である。古人は置鼓15発か、本釣鐘約10発のどちらかを打って一日の仕事を終えていたという逸話が遺るが、それだけ精神力、集中力が要求される。
染五郎丈の曾祖父七代目幸四郎丈の四段目の本釣鐘は、曾祖父十代目、祖父十一代目傳左衛門が打っていた。それ以来の因縁である。様々な芸談、逸話が遺る。先月の播磨屋の熊谷陣屋に引き続き、万感の思いである。
殊に、現在新橋演舞場の鐘は、建替中の歌舞伎座から釣り替えているが、もう一代前の歌舞伎座か帝劇か、どちらかの物と聞いている。
戦時中も歌舞伎を公演していたので、当然本釣鐘が無いと芝居にならない。
劇場に在り、気合いの入った先輩達が隠し守った為、軍需供出で鋳潰される事無く、歴代の名優名演奏家達を見続けた代物、新しい歌舞伎座に釣り替えるのが楽しみである。
終わって国際フォーラムのアートフェアに、友人の東園基昭氏の日本画を見に行く。
モダンアートも様々だが、古典の知識に裏打ちされていないものなど、只の破壊的な落書きに過ぎない。自分が気持ちよいのだから構わぬだろうと他人の迷惑を省みない、質の悪い酔っ払いを見るような嫌な気分になる。
彼の日本画は、モダンな中にふとした端正な古典の薫りが漂う。大贔屓の陶芸家の細川護光氏の作品もそうだが、小さな頃から良いものを見てきた環境も一因であろう。
早く細川氏の個展が見たい。
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2012年03月29日

傳左衛門日記・3月28日

昨日南座千穐楽。桜の蕾もだいぶ膨らんできた。
最後に顔を出した知人の古美術商で、震災で被災し、海水に浸かった江戸初期の某高僧の書が見事に修復されていたのを拝見して、感動した。一年がかりで洗い、表具し直したとの事。
幾多の天災戦災を乗り越え、復興と成長を遂げた我が国を見て来た古い物には、特別な力が宿っているのだと、改めて思う。小鼓大鼓等、我々の道具も同じ、大切に敬わねばならぬ。
四月演舞場の忠臣蔵の稽古の後、藤間宗家の結婚式。母と家内と同じテーブルで、美味しい食事を楽しんでいたが、友人代表で、新郎のほぼ全てを知り尽くした傳次郎がスピーチと聞く。彼は相当出来上がっていたので気楽だったが、こちらは緊張。
良いスピーチで安心した。
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2012年03月28日

おはなしに音をつけよう(傳次郎日記)

先日、KAAT神奈川芸術劇場で子供たちに囃子体験レクチャーをさせていただきました。
我々が黒御簾で使用する楽器を10種類ぐらい用意し、そこから選んで作調するという内容です。
歌舞伎の囃子は音楽性と表現力が大切です。打楽器を使って情景や心理をどう表現するか...
最初は難しいからどうなんだろう?と思っていましたが、結構積極的に前へ出て楽器に触れあい表現していました!子供の感性の素晴らしさにびっくりで、大人では考えつかないような工夫を各自考えていました。ピーターパンの世界ではないですが、大人になると忘れがちな感覚を子供たちの持つ感性で教えられたような一日でした!
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2012年03月26日

傳左衛門日記 3月24日・京都

京都南座。
三響會の15周年を記念した手拭いを、京都の老舗手拭い屋の永楽屋細辻伊兵衛商店さんが作ってくれた。
シンプルな色使いとデザインが素晴らしい。
南座近くにある永楽屋さんの店頭で実際に販売されていたのには驚いたと同時に、嬉しく思った。
思わず購入してしまった。
京都は素晴らしい物に囲まれているが、古裂を貼った面白い葉書を発見し、購入した。
昨年末多忙で友人知人に年賀状を殆ど書いておらず、些か心苦しく思っていたので、便りを書く。
夜、再び鳥彌三へ。
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